話数 第117話
放送日 1976年(昭和51年)12月21日
タイトル 「二度死んだ男」
レギュラ−
キャスト
叶刀舟:萬屋錦之介、仏の半兵衛:桂小金治、榊大介:真夏竜、
矢車のお千:上原美佐、稲妻のお蘭:江波杏子
ゲスト
キャスト
喜兵衛
(浜村純)
清次
(森大河)
お園
(渡辺やよい)
留吉
(風間杜夫)
藤蔵:曽我廼屋一二三、多平:根本嘉也、伝十郎:内田勝正、
その他:松尾玖治、田原千之右、田中加奈子、八幡源太郎、西田勇三、
記平佳枝、鳴海剛、本田昭夫、語り:馬場昭夫
あらすじ あげは一家と榎一家の抗争が始まった。
あげは一家の藤蔵は薄気味悪い清次という男に榎の政吉の殺害を依頼した。
その後、清次は政吉を殺害したがその場に居合わせた妾のお園に怪我を負わせて
しまう。お園は瑞光院に運び込まれ、輸血手術が始まった。
劇中
ナレーション
当時の文献によればわが国で輸血の治療が行われた記録はない。
しかし、輸血治療は1654年イタリーフィレンツェの医師により行われ
その処方は医学書に記されわが国にも伝わっていた。
ただし、その頃の治療は副作用を起こしやすく、輸血が一般に普及したのは
ABO式の血液群の発見された1900年以後のことである。
劇中
ナレーション
あげはの喜兵衛。当時神田下屋浅草から本所深川にかけての盛り場を
取り仕切る元締めとして、大名旗本町奉行までが一目を置くと言われた
勢力の持ち主である。
みどころ
叶刀舟 「おめぇさんの体の中にゃあ、あの清次って男の血が入っている。」
お園 「えっ、あいつの・・。」
叶刀舟 「清次って男の血を取って、おめぇさんの血の管に入れたんだ。」
お園 「えっ。」
叶刀舟 「あいつに何があったか知らねぇが、どうも生きる望みを無くしちまったらしい。
それがおめぇさんに係りあって命がけでおめぇさんを守ろうとしているらしい。」
お園 「あたしを・・。」
叶刀舟 「命がけになるって事はいい事だ。人間生きるって事の証だからな。」

本当にやりきれないというか、人の命のあわれさを感じます。
悪人狩りのシーンも雨の夜の静けさの中で描かれていて、
それがまた刀舟先生の怒りよりも悲しみを感じさせました。

この時期の作品としては好きな作品です。
                        随行員さん談

啖呵
藤蔵 「おっ藪医者。」
叶刀舟 「この野郎ぉ。」
「喜兵衛。てめぇの悪事は先刻承知だ。だが、そいつは許す。
「だがなぁ、冥土の土産に一つだけ教えてやろう。」
(ババババン、ジャーン、テケテン)
「人の悪事で許せねぇのは人の命を弄ぶ虫けらだよ。」
「若けぇ男と女が尊い命を育てようとしたのをてめぇはそいつをむしり取りやがった。」
「つみ取りやがった許せねぇ。」
「許せねぇ、許せねぇ。」
「てめぇは人間じゃねぇや、叩っ斬ってやる。」
喜兵衛 「なめるんじゃねぇ。」
叶刀舟 「やかましぃ。」
エンディング
ナレ−ション
天保年間、清次、お園と同じように口減らしの為、江戸に奉公に出る子供たちは年間
二千有余人といわれ、だが、まっとうに勤め上げたものは数少なく、天保の疲弊の
波をかぶり、悪への転落、そして自らの若い命を絶つものが数知れなかったという。
次週予告  「どうしたんだい。」
 「あたしと付き合ったら死んじゃうんだよ。」
おりんが惚れた五人目の男。
氷付く滝に誓った純粋な愛の結末。
穢れを知らぬ女と傷ついた男の必死の逃避行。
 「俺につきて来てくれるかい。上方へでも行って穏やかに暮らしたくなったんだい。」
 「おめえと一緒にいよう。ついてきてくれるかい。」
 「あんたぁ。」
 「承知してくれるんだな。」
 「てめぇら、よくもおりんの夢を壊してくれたな。」
 「許せねぇ。」
 「てめぇは人間じゃねぇや、叩っ斬ってやる。」
次回破れ傘刀舟悪人狩り「天女のような女」にご期待下さい。
企画 勝田康三
原案協力 土井通芳
プロデュ−サ− 吉津正、菜穂進
脚本 櫻井康裕
音楽 木下忠司
撮影 坪井春樹
美術 安部衛
録音 宮永晋
照明 嶋田宣代士
編集 阿良木佳弘
助監督 下村優
記録 浅野秀子
制作担当 原田昇
殺陣 尾型伸之介
演技事務 石坂久美男
効果 東宝効果集団
整音 トリッセン・スタジオ
現像 東洋現像所
装置 三船プロ
小道具 高津映画装飾
装飾 三度屋美術工房
衣装 京都衣装
美粧 山田かつら店
監督 村山三男



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